昨年1月の能登半島地震の発災を受けた石川県の対応について、県は18日、有識者の意見を踏まえた検証結果の案を発表した。情報発信や給水支援など53項目を検証。孤立集落に対応するマニュアルの不在や、警察や消防の出動を調整する難しさなどを課題に挙げた。
高齢化が進む半島部での災害。教訓を今後に生かそうと、県が有識者や輪島、珠洲両市の副市長らで検証委員会をつくり、初動と応急対応を検証している。53項目中12項目については1月に検証結果の素案を公表していた。
今回新たに示した項目の一つ、孤立集落対策では、具体的なマニュアルがなく、通信手段の確保や市町の拠点からの物資輸送が困難だったと指摘。改善策として、マニュアルの整備やドローンを使った輸送を挙げた。
罹災(りさい)証明の発行では、窓口職員の知識不足が課題となった。判定理由などの説明が不十分で住民が納得しないケースがあり、1次調査約11万件のうち約1万6千件で2次調査が必要となった。市町で被害認定のマニュアルをつくり、不動産鑑定士や国による研修で理解を進めたいとした。
救急・救助をめぐっては、警察、消防、自衛隊との連携で課題が見えた。3機関それぞれに指揮命令系統があり、1千件以上あった救助要請を県が迅速に差配しきれなかったという。県危機管理監室の担当者は、出動の重複があったかもしれないとし、「3機関のとりまとめがうまくいっていれば、という思いがある」と話す。こうした業務に精通した職員を県に派遣するよう国に提言したいという。
災害広報・情報発信については、状況の変化に応じた新たな情報を周知する難しさを挙げた。発災直後に馳浩知事が個人ボランティアの自粛を呼びかけたところ、その後にボランティア受け入れを発信しても、拡散される情報が塗り替わらなかった。改善策として、関係機関に現地の様子の発信を呼びかけることや、ボランティアの受け付け開始時期の見通しなどを丁寧に発信することを盛り込んだ。
県は検証結果の案について、ホームページなどで県民の意見を募集。市町や県議会の意見も踏まえ、今年度内に最終案をまとめる予定だ。
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